きっかけ
素晴しい師との出会い
閉ざされた音大への道
リコーダー奏者として
Part 1〜お笑い編
Part 2〜怒り編
Part 3〜苦笑い編
リコーダーのこと
リコーダーの簡単なご紹介
リコーダーと「たてぶえ」



それにしてもおかしな話です。「私はちゃんと窓口の人にもう一度確かめるように頼んだのにあのときにはなかったのだ。私が調べるよう頼んだときになかったものが、朝日新聞からの依頼で調べてみたらあったということは、つまり個人の要請ごときでは郵便局はきちんと対応しないということではないか、これは由々しきことだ。しかしだからと言って仮に私が怒鳴りこみに行ったとしても、済んでしまったことが変わるわけでもあるまいし、いくら郵便局とはいえ、作業をしているのは人間である以上はミスがあるのも仕方のないことだろう。とにかくはがきがあったことは判明したのだし、さすがに局の人からは当然謝罪の言葉があるはずだ。今さら怒ったって仕方がないのだから、それを聞いてよしとしようではないか」昨日の落胆から半ば疲れていた私は、郵便局までの道中自らの怒りを静めつつ、そのように考えました。

そして謝ってくれるという集配課の◯◯さんを呼び出してもらったところ、◯◯さんは「ああ朝日新聞から連絡ありましたよ。はがきありますよ」と言って奥の方まで取りに行き、まるで何事もなかったかのように平然と私にはがきの山を差し出しました。
当然一言くらい謝罪の言葉があると思っていた私はあまりのことに唖然としながらも、「一体どうしてこういうことになったのか説明していただけませんか」と言うと「いやあ僕が仕分けをしたわけじゃないのでねえ、窓口にいた者の名前を覚えていないのだったら誰だかわからないですねえ」というそっけない言葉。

そんなこと言ったって、誰が直接仕分けをしたのかとか、直接私にはがきを渡したのは誰かとかが問題なのではなく、郵便局全体の責任として誰かが私に謝罪をするなり釈明をするなりすべきなのではないのか。しかもこの人は一応集配課の長なのだから、部下の責任を取るのは当然自分だという考えも及ばないのだろうか。それに郵便局たるもの国民の信頼を担って郵便業務を行っているはずなのに、こんなミスがあっていいものだろうか。それなのによくもまあこの人は平然としていられるものだ。私が小娘だと思ってなめているのだ・・・  

そんな風に考えているうちに昨日の悲しさと悔しさと怒りが込み上げてきて、こんなところで泣くなんてみっともないと思いつつも涙が出てきてしまい、「みんなが信頼している郵便局がこんなことでいいんですか?」「今さらこんなはがきの山を渡されたってもう遅いんですよ。せっかく応募して下さったのにこの全部のはがきが何の意味もなくなちゃったんですよ!(これはちょっと誇張表現だったのだけど、こうでも言わなければ事の重大さを認識してもらえないと思った)」と泣きながら訴えたところ、周囲の人々の視線がこちらに集まりさすがの◯◯さんも慌てて、「どうぞ、とりあえず奥へどうぞ」などと言うので「なんで奥に行く必要があるのですか、ここで説明して下さい」と食い下がると「ちょっと上の者を呼んできて対応しますので」ということで奥の部屋に通されたのです。  

◯◯さんに呼び出された課長さんも事態を把握しているわけではなく、結局原因が何だったのかは明らかにはなりませんでしたが、課長さんからはお詫びの言葉をいただき、私も一市民として郵便局を信頼しているのだからその信頼を裏切らないで欲しいという旨を伝えて局を出てきました。


さて家に帰ってからは、はがきの山との葛藤が始まりました。なんと応募総数539通!昨日の1枚とは雲泥の差!そして昨日のあの落胆はうそのようです。既に応募の締切は過ぎていたので慌てて抽選を行いましたが、こんなにたくさんの方々が応募して下さったのに、ほとんどの方々には差し上げられず(当選確率は5/539 つまりなんと1/100以下)、心苦しく思いつつも5枚のはがきを選ばせていただきました。 



発送が大幅に遅れたため、朝日新聞からの要請で当選者にはとりあえず電話連絡を差し上げました。もうコンサートまで1週間を切り、今から発送すると手元に届くのがぎりぎりになってしまうため、せっかく当選した方もはずれたのだと諦めて別の予定を入れてしまってはいけないから、という配慮からでした。(さすがは朝日新聞です。)

以前から郵便業務に関する不祥事は取り沙汰されていましたが、私もこんな形でそれを体験してしまうとは思いも寄りませんでした。私たちは必ず相手の元に届くと信じているからこそ、わざわざ高い料金を払って手紙や小包を郵便局に託して送っているのです。それらはどれも大切な情報を含んでいるのであり、それこそ一人の人間の人生を変えてしまうようなものだってあるのです。私だってあのときは本当に絶望的な気持ちでした。もしあのはがきの山があのまま郵便局に放置されていたとしたら・・・考えただけでもおぞましい気がします。

私たちの日常生活の中で郵便局の果たす役割はいかに大きいことでしょう。そうした信頼を託しているのに、郵便局とは信用できない存在だなあなどと私たちに思わせないでほしいものです。
  Part 3〜苦笑い編